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CONNECTION REEL SERVICEの更新担当の中西です
目次
オーバーホールとは、単なる修理ではありません。
それは“機械や機器の内部をゼロに戻す”――言い換えれば、精密に再生するための最終工程です。
一方で、オーバーホールは分解・洗浄・調整・再組立という緻密な工程の連続であり、わずかな判断ミスや手順違反が重大な機能不良・事故・信頼喪失につながる仕事でもあります。
今回は、プロの現場で共有されている「オーバーホール専門業における注意点」を、工程別に深掘りしてご紹介します。
分解はオーバーホールの第一歩。しかし、ここでの手順ミスが、「組み戻せない」大きなトラブルに直結します。
すべての部品配置を写真・図で記録
分解順に沿ったトレイ分け・ラベル管理
特殊な組立方向やばね圧に注意
ネジの長さ・径・締め順を細かく区別
「記憶ではなく記録」こそが職人の基本。
部品洗浄は「再生」の本質を支える作業。
金属粉・潤滑油カス・サビ・微細な粒子などが残れば、どんな精密調整も台無しになります。
洗浄液・超音波・ブラシの使い分け
プラスチック・ゴム・金属で薬剤を変える
内部穴・軸受け・ネジ山の徹底洗浄
洗浄後の自然乾燥・エアブロー管理
“目に見えない清掃”こそ、プロの実力差が表れます。
オーバーホールでは目立った破損がなくても、消耗部品は“迷わず交換”が原則です。
パッキン・シール材・Oリング
ベアリング・ブッシュ・スプリング
グリス・潤滑油・絶縁材
ネジ・ワッシャー・バネ座金
迷ったときは、「今変えずに後悔しないか?」で判断。
コストよりも信頼性を優先するのがオーバーホールの基本姿勢です。
再組立ては「元通りに戻す」だけでは不十分。規定通りのトルク・隙間・潤滑量が求められます。
トルクレンチ使用と管理票の記録
グリス塗布量の適正化(少なすぎ・多すぎ厳禁)
過締めによる変形や破損防止
可動部の“遊び”と“渋さ”の調整力
手の感覚と数値管理の両立が、信頼性を支えます。
オーバーホール後の試運転では、動作音・温度上昇・振動・異常信号のすべてをチェックします。
無負荷・定常運転の両方を検証
周囲に可燃物・工具がないことを確認
安全装置・アラームが正常作動するか確認
再点検チェックシートで“Wチェック”
**「最終確認こそ最大の責任」**という意識が、プロの証です。
オーバーホールは、「直す技術」ではなく、「預かった機械を“未来に耐え得る状態”に再構成する技術」。
分解から再構築まで、ひとつひとつの判断と手仕事の積み重ねが、ユーザーの安全・安心・満足につながります。
技術力・判断力・記録力・誠実さ――すべてが備わってこそ、“オーバーホール専門業のプロフェッショナル”です。